自由主義
ここのところ、非常に体調が悪く随分長らく書きませんでしたが、トランプ政権の関税政策について一言書いておきたいと思います。 4月に発表された一連の米国の関税引き上げ幅は予想以上で、そのロジックも滅茶苦茶です。今回の措置が実行に移された場合、米…
今年は米国の小説家で思想家のアイン・ランドの生誕120周年です(誕生日は1905年2月2日)。彼女の『水源』*1、『肩をすくめるアトラス』*2といった小説は米国では聖書に次ぐ程の人気を誇る大ベストセラーです*3。自己犠牲を賛美する集団主義的哲学に反対し、個…
今日は、オーストリア学派の思想家ハンス=ヘルマン・ホッペ氏(ネバダ大学ラスベガス校名誉教授)を取り上げたいと思います。ホッペ氏は無政府資本主義者ロスバードの弟子で、自身も無政府資本主義を標榜しています。一部の本格派の(?)リバタリアンの間で…
彼〔ディオゲネス〕が日向ぼっこをしていると、アレクサンドロス大王がやってきて彼の前に立ち、「望みのものを何でも言うがよい」と言った。すると彼は「日陰になるからそこをどいてくれないか」と答えた。*1 古代ギリシャの哲学者ディオゲネスは、樽の中で…
今年は世界でも日本でも重要な選挙がありましたが、懸念されていたように極右政党、権威主義的政治家が政権を獲得する事態が相次ぎました。2020年の大統領選で不正選挙陰謀論を主張し議会襲撃事件を引き起こした張本人であるトランプ元大統領の当選は象徴的…
この度、『週刊金融財政事情』 2024年11月18日号にヨハン・ノルベリ『資本主義が人類最高の発明である』(山形浩生訳, News Picks)の書評を掲載していただきました。ぜひご覧いただければ幸いです! 『資本主義が人類最高の発明である』 | きんざいOnline 今…
ひょっとすると私たちは〔民主主義という〕奇跡にふさわしい感謝を捧げるには、その下であまりに長く暮らし過ぎているのかもしれません。自由は脆いものです。それが失われるときは一世代もかかりません。自由は相続されるものではなく、それぞれの世代が絶…
衆議院選挙も最終版です。昨年の補選でもそうでしたが、千葉5区の自民党候補、英利アルフィヤ氏に対しては事実に基づかない誹謗中傷が非常に多い状況です。 少なくとも、ここに書いてあることぐらいは知った上で投票先を決めてほしいと思います。 えりアルフ…
恐ろしいことですが、選挙期間中にテロが起きるのはもはや珍しいことではなくなってしまったようです。今朝、自民党本部に火炎瓶のような爆発物が投げつけられる事件が起きました。容疑者の男は犯行後さらに総理官邸に車で突っ込もうとしましたが、警視庁に…
石破首相が報道番組でケネディの演説を引用したことが話題です。 「国が何をしてくれるかを聞くな、一人一人が国のために何ができるかを聞けということをケネディが言いましたね。それは私はそうだと思っています。ですから、消費税を下げる…〈中略〉…これを…
9月29日は、偉大なオーストリア学派のリバタリアンの経済学者、ルートヴィッヒ・フォン・ミーゼスの誕生日です。そこで今日はミーゼスとリバタリアニズムの話題をお話ししたいと思います。と言っても、明るい話題ではなく、ミーゼスの名前と結びついている最…
米国リバタリアン党の極右の派閥Mises Caucusの危険性については、このブログやXの投稿でたびたび訴えてきましたが、とうとう深刻な事件が起きました。9月15日、Mises Caucusの牙城であるリバタリアン党ニューハンプシャー支部の公式Xが次のようなハリス副大…
小泉進次郎氏が自民党総裁選の有力候補になっていますが、小泉氏は父の小泉純一郎元首相のイメージや解雇規制緩和の主張等から「新自由主義」のレッテルを張られているようで、賛成派、反対派双方が小泉純一郎政権の規制緩和の是非で盛り上がっています。 水…
日本では自民党総裁選や立憲民主党代表選、米国では大統領選が話題ですが、選挙になると、特定候補の発言をいちいち正当化して回る熱烈な支持者が大活躍します。他の候補が当選したら「日本は終わる」(一体全体、今まで何回日本は終わったのでしょうか?)と…
東京大学の斎藤幸平准教授とアーティストの村上隆氏の対談動画が話題になっています。対談の内容というよりは、脱成長論者の斎藤氏が高級ブランドのメゾン・マルジェラの服を着ていることに批判が集まっているようです。学者としての斎藤氏はともかく*1、彼…
少しお知らせが遅くなってしまいましたが、『週刊金融財政事情』 2024年7月16日号に森村進著『正義とは何か』(講談社現代新書) の書評を掲載していただきました。ぜひご覧いただければ幸いです! 『正義とは何か』 | きんざいOnline (kinzai-online.jp) 森村…
LGBT差別について リバタリアン党Mises Caucusの危険性についてこれまで3回にわたり議論してきましたが、今回は党内のLGBT差別について論じましょう。木村様からは、Mises Caucusの「LGBT[への批判]は政府による公教育などでの強制的な「差別是正措置」に…
②Mises Caucusの明白な人種差別主義 前回に引き続き、リバタリアン党Mises Caucusの危険性について議論したいと思います。前回は、南北戦争について、「州の権利」の観点から南部連合を支持する主張の是非について検討しました。南部連合を支持する「失われ…
①南部連合の「失われた大義」神話の欺瞞性 前回に引き続き、リバタリアン党Mises Caucusの危険性について議論したいと思います。今回は、南部連合の問題について論じます。先日のXの投稿では、リバタリアン党内の南部連合支持者の危険性を指摘しましたが、こ…
経済ジャーナリストの木村貴様より、私のMises Caucusに関するXの投稿に対してコメントをいただきました。通知を見落としておりお返事が遅くなってしまいましたが、お返事させていただきます。5月22日にちょうどリバタリアン党党大会にトランプ元大統領が招…
6月7日、ケイトー研究所副所長を長く務めたリバタリアンの偉大な思想家David Boaz氏*1(ケイトー研究所名誉シニアフェロー)が亡くなられました。体調を崩しておられるというニュースは少し前からあったので驚きではありませんでしたが、自由を愛する人々に…
「外国人などマイノリティーの権利が認められると日本人が搾取される」というのが人種差別主義者のお決まりの発想です。彼らにとって、権利というのは、移民の取り分が多くなれば、他の日本人の取り分が少なくなる大きさの決まったパイのようなものです。こ…
衆議院東京15区の補選の選挙妨害が話題になっています。暴力をふるって選挙活動を妨害するのは民主主義を脅かすテロ行為です。興味本位で面白半分にもてはやしたり、自分の嫌いな候補者へのいやがらせなら歓迎したりするのは民主主義を破壊する自殺行為とい…
先日の投稿で市場の失敗について私の述べた見解は、ミルトン・フリードマンの主張とほぼ同じものです。フリードマンは社会主義者や国家主義者にとって、自由主義のシンボル的存在であるようで「市場万能論者だった」などと攻撃されがちですが、実際にはそれ…
アルゼンチンのミレイ大統領の言動はリバタリアンの熱い注目を集めていますが、彼が今年2月に米国の「保守政治行動会議(CPAC)」で行った演説は、オーストリア学派経済学のマニフェストというべき内容で大きな話題になりました。 自由主義経済学について紹…
先日はオーストリア学派のレトリックを中途半端に使った増税を支持する議論を批判したので、あるいは誤解があるかもしれませんが、私は別に真面目にオーストリア学派を研究している方に喧嘩を売っているわけではありません*1。私が言いたかったのは単にリバ…
小さな政府を支持するリバタリアンを自称する方の中には、何であれ金融緩和に強硬に反対される方がいます。「日銀の不自然な市場への介入のせいで金利が低水準に抑えられると日本経済は大変なことになる」のだそうです。彼らに言わせると、アベノミクスとは…
日本で活躍する外国人や帰化した方を執拗に攻撃し、自分が日本人であることをやたらに誇る人たちがいます*1。履歴書を書くときは自分の一番の功績を書くものですが、偶々日本に生まれたことが自分の生涯最大の業績で、それ以外に特に何も誇ることがないとい…
2023年は、アダム・スミス生誕300周年、リカード没後200周年、ジョン・スチュアート・ミルの没後150周年という経済学にとって記念すべき年でしたが、日本の経済学者では、石橋湛山の没後50周年でもありました。 石橋湛山は、戦前は東洋経済新報社のジャーナ…
2023年はジョン・スチュアート・ミルの没後150周年でしたが*1、今年は特に自由の意義を改めて考えさせられた1年でした。 2020年の米国大統領選後から顕著になっていた現象ですが、今年はネットを中心に一部の過激な集団が根拠のないデマをもとに迷惑行為を繰…