柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

独裁国家が戦争に弱い理由

プーチン大統領はロシア帝国復活を夢見てウクライナ戦争を始めたわけですが、今やロシアは崩壊の危機に立たされています。一党独裁政党の支配に比べ、プーチンのロシアのような個人独裁は政治的に不安定で、戦争に敗北すれば*1崩壊する可能性が高いと考えら…

プリゴジンの反乱に関する雑感

プリゴジン率いる民間軍事会社ワグネルの反乱はあっけなく終わりを迎えたようです。情報が錯綜していますので、軽々しい断定は避けたいと思いますが、今回の反乱についていくつか雑感を書きたいと思います。 昨晩の時点では、ワグネルは殆ど抵抗を受けずに進…

私事に立ち入るべからず

世間のニュースを見ていると、自分には直接関係のない話に、どうしてそこまで関心を持てるのか、不思議になるときがあります。誰が誰と結婚するか、夫婦がどんな姓を名乗るか、どんな性的志向を持っているか、プールで誰を撮影するか*1、どんな漫画、写真そ…

食料品値上がりの自然な対策

食料品の値上げが相次いでいます。こういうとき必ずやり玉に挙がるのが金融政策です。「インフレを目指しているせいで物価が上がる、そのせいで生活が苦しい、すぐ金融緩和をやめて引き締めるべきだ」といった主張を盛んに唱えておられる方がいます。 しかし…

自主規制のダブルスタンダード

最近では、俳優が薬物の使用等の事件を起こすと、あるいは事件ですらない不倫などの問題を起こすと、過去の作品が回収されたり、公開が決まっていた作品が撮り直しになったり公開が中止されたりすることが珍しくありません*1。 問題を起こした人物の出演する…

有名税という名の人権侵害

タレントの不倫とか色恋沙汰はゴシップの話題にはなっても、広告や番組から降ろされたり謝罪会見をさせられたりするような話ではないはずです。有名人であっても私生活は尊重されるべきです。 タレントの広末涼子さんの不倫に対するバッシングのおかしさにつ…

6月の金融政策決定会合

6月15-16日の会合で日銀は金融緩和継続を決めました。緩和継続は、植田総裁の会見や日銀の情報発信から当然予想された結果で驚きではありません。植田総裁は黒田前総裁の政策をみだりに変えたりせず、適切な政策運営をされていると思います。 一部にはサプ…

LGBT理解増進法について

今回は6月16日に成立したLGBT理解増進法を取り上げたいと思います*1。LGBT理解増進法には賛否がありますし、皆さんは様々な意見をお持ちだと思います。どのような意見があっても良いのですが、法案への賛否はともかく、法案が成立すると性犯罪が激増し、「日…

書評掲載(6/6)

この度、『週刊金融財政事情』にブランシャール『21世紀の財政政策』の書評が掲載されましたのでお知らせします。是非ご覧いただければ幸いです。 『21世紀の財政政策 低金利・高債務下の正しい経済戦略』 | きんざいOnline (kinzai-online.jp) ちなみに、ブ…

ESG投資家へのアダム・スミスの忠告

ウクライナ戦争による資源高と経済危機で、ひところ盛んだったESG投資にはここのところ逆風が吹いています。ESG投資の収益は低迷し、日本のESGを謳ったファンドの設立は2022年には2021年の半分以下に減少し、今年も低迷が続いています*1。脱炭素を掲げ、化石…

アダム・スミスの英知

今年6月5日はアダム・スミスの生誕300周年です。スミスは、経済学の父であるだけでなく、偉大な哲学者でもありました。スミスの『道徳感情論』は、『国富論』ほど知られていませんが、人間の共感がいかにして道徳を生み出すかを説いた哲学の古典です。完…