柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

お詫びと訂正

先日の記事(1,2)では、大林ミカ氏の背後に中国の朱鎔基元首相の写真が飾ってある写真について取り上げ、一部の極右が流している主張はデマである可能性が高いと指摘しました。これについて、4月8日、自然エネルギー財団から発表がありました。

「ネット上で、大林事業局長の背後に中国の朱鎔基首相の写真が飾ってある写真が取り沙汰されていますが、この写真は、日本記者クラブの喫茶室で共同通信により撮影されたものです。喫茶室には、過去に記者クラブで講演した多くの首相たちの写真が飾られています」*1

この写真の撮影者である井田徹治氏は、次のように投稿しています。

「朱鎔基・元首相の写真は、写真を撮影した日本記者クラブで同氏が講演したことを紹介するために同記者クラブが撮影、掲示しているもので大林さんとは一切、関係がありません。この事実に反する誤った情報が流布されているものも目にします。これも早めに削除されることをお勧めします。」*2

これでこの話は決着がついたといえるでしょう。先日の投稿では私は一部の極右が写真を理由に大林氏を工作員などと攻撃している件について、デマである可能性が高いとしましたが、実際その通りだったわけで、これで愚かしい陰謀論の誤りは十分はっきりしました。

ただし、写真については不鮮明で朱鎔基氏のものではない可能性があると主張しましたが、結果的にこれは誤りでした。読者の皆さんにお詫びして訂正します。私の記事では写真の真偽は断定せずわからないということは強調していたかと思いますが、写真の一致率の判定は不鮮明な写真ではなかなかうまくいかないものですからこの点をもう少し強調すべきでした。

とはいえ、仮に写真が本物だったとしても、極右の主張は誤りである可能性が高いと注記し、次のように主張しましたが、これは正確だったと言えます。

「仮に問題の写真が朱鎔基の写真だとしても(ありそうにありませんが)、いくらでも可能性が考えられますし、大林氏が朱鎔基を崇拝しているとかまして中国の工作員であるとかいった結論は出てこないでしょう。…(中略)…そもそもこの写真の撮影場所は不明ですから、偶々、新聞社の取材で出向いた先の場所に写真があっただけということだってあり得ます。朱鎔基元首相の写真が写っていたから(繰り返しますが、そうだと断言できる根拠はありません)、だから中国の工作員とか言うのは荒唐無稽です。」*3

一応、記録のため、これらの記事は削除せず残しておきます。

なお、自然エネルギー財団は、大林氏の国籍については次のように述べています。

「大林事業局長に関し、SNSの一部で全く事実と異なる情報が流されていますので、以下に履歴を明記しておきます(主な内容は財団のスタッフ紹介ページに記載されており、また国には証明書含め提出し 既に説明済みです)。同氏は、大分県中津市生まれの日本人であり、国籍も日本です。「大林ミカ」は本名(戸籍名)であり、カタカナ表記の「ミカ」も本名です」*4

先日の投稿では、「地方公務員」を名乗る匿名アカウントの主張はデマである可能性が高く、それを真に受けて「大林氏の国籍」を問題にする池田信夫氏をはじめとする方々はネットリテラシーが欠如していると批判しましたが、予想通りの結果です。

国籍や写真の話がデマであることがはっきりしたわけですから、「大林氏は工作員」などと言って写真や国籍について騒いでいた方々は謝罪し、速やかに投稿を削除すべきでしょう。デマを散々投稿しておきながら、そのまま放置し訂正する気がない方々は当然ですが訴訟を受けて立つ覚悟があるのでしょう。