柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

民主主義の大切さ

昨今流行りの本が何と言おうと、選挙なしの民主主義はあり得ません。22世紀の民主主義であろうと23世紀の民主主義であろうとそれは変わりないでしょう。

今はちょうど統一地方選、衆参補選のさなかですが、政治に参加し、自らの権利を行使することは大変大切なことです。このような権利を平和的に行使できる国は世界でもそれほど多いわけではありません。せっかくの権利を行使することに後ろ向きであってはいけません。

しかし、日常生活では他人に対して絶対にしないようなことは、政治の話の時だってやってはいけないに決まっています。基本的なことを調べないまま、適当な陰謀論を拡散したり、おかしな正義感で候補者を中傷したりするのは最悪の行為です。

候補者の政策を政見放送選挙公報、候補者のホームページで確認する。各社の候補者アンケートを見て、他の候補と比較する。怪しげな中傷は信じない。おかしな陰謀論サイトを見ても、何も知識は得られません。どれも基本的なことでとても簡単にできることです。

極右と極左の暴走が民主主義への脅威となっているのは万国共通の現象ですが、幸いにも日本は最近まで極端に先鋭化した対立が起きず、比較的安定した時代が続いてきました。安定した民主主義は、経済停滞が続いた中にあって、日本が誇ることのできる数少ない美点です。その民主主義を揺るがすような行為に加担しないのは大切なことです。

安倍元首相の暗殺は、知識人が「アベ」を非人間化し、「あべしね」と平気で言うような異常な風潮が続いた末に訪れた悲劇でした。まだ捜査当局から正式に発表された情報等はないため断定することは控えますが、報道を信じる限り、岸田首相へのテロ実行犯はメディアがここ最近煽ってきたような極端な統一教会陰謀論の支持者で、先の安倍元首相暗殺事件の模倣犯である可能性が濃厚です。政治家を非人間化し、殺せとか死ねとか言い続ければどういうことになるか、いやというほどわかったはずです。