柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

えりアルフィヤ氏への不当な差別に反対します(3)

えりアルフィヤ氏の主張する政策にはもちろん賛否はあるでしょうし、それはそれで大いに議論すればいいでしょう。しかし、候補者についてすぐわかるようなことを調べもせずに人種偏見に基づいて適当なことを断言したり中傷したりするのはそういう議論以前の問題です。私がこれまでの投稿で書いてきたこと()は支持するかどうか以前の当たり前の話です。

今日はさらにレベルの低い話をしましょう。敢えてコメントするのも恥ずかしいのですが、えりアルフィヤ氏の名前を明らかに侮蔑的な意図で、わざと間違った書き方で書いている人たちがいます。「えりあるある」、「ヘルファイア」、「エリアブラ」等等、酷いものがたくさんあります。自分では知的で洒落たことを言っているつもりで大得意なのでしょうが、お名前が政策や主張と何か関係があるでしょうか。これは一部の極端な左翼の方々がアベノミクスを「ドアホノミクス」と罵ったり「あべしね」等と書いたりしていたのと何ら変わらない幼稚さです。

特に、これはえりアルフィヤ氏が名前に対して特別な思いを持つ方であることを考えれば、これ以上にない侮辱です。「アルフィヤ」という名前については詳しくは本人が書いておられるブログをご覧いただければと思いますが、簡単にご紹介しましょう。

中国の法律では、ウイグル自治区で生まれたウイグル人は中国語(漢字)で名前を登録させられます。「ウイグル語とは全く違う言語グループである中国語の表記では、本来の名前からかなりかけ離れたもの」になるそうです。

えりアルフィヤ氏自身は日本で生まれていますが、生まれた時は両親が中国籍だったので、自身の名前を中国語で登録しなければなりませんでした。幼い頃は不自然で自分の本当の名前とは一致しない名前を使わなければならないことに深く傷ついたそうです。

ウイグルの様に、民族・領土の主権を失くすということは、ひとりひとりの名前さえも正しく表記してもらえない、自分が認識している存在として、尊厳のあるスペースをも与えられないということです。言葉を変えれば、人間としての尊厳が奪われるということであり、今のウイグルの状況を見ると、その延長線として、言葉にできないほどの悲惨な弾圧と人権侵害が起こっていることが明確です。だからこそ私は、日本に生まれ、自分を「アルフィヤ」と名乗る尊厳を与えられた日本人として、何よりも先に我が国日本の主権と領土・領空・領海を守り抜くことが大切だと考えています。」*1

こうした強い決意を持っている方に対して、外国にルーツがあることをバカにし、名前を嘲笑するとは信じられないことです。自分のしていることの意味がわかっているのでしょうか。彼らがやっていることはウイグルの民族文化を否定する中国共産党政府と同じです。こんな人たちに人権や自由について語る資格などありません。他人を根拠もなく中国共産党工作員だなどと罵る前に、まず自分のしていることをよくよく反省してはいかがでしょうか。

誰だって自分の名前が間違って呼ばれたら厭な気分になります。ビジネスでも友人関係でも相手のお名前を間違ってしまったときは本当に慌てるものです。間違った名前だと知っていながら、わざと嫌がらせで変なあだ名をつけるなんて、いじめっ子の小学生なら考えそうなことですが、大の大人がやっていたら幼稚で本当に恥ずかしいことです。