柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

池田先生のコメントへのコメント

評論家の池田信夫先生から以下のようなコメントをいただきましたので、一応お答えさせていただきます。

正直、これには驚きました。池田先生は学界の事情に詳しい権威ある学者なんでしょうけれども、これはとても学識あるコメントとは言えないのではありませんか。私と意見の相違はあると思いますが、こんな言い方はさすがにないでしょう。

少なくとも私は池田先生に対してこんな言葉遣いをしたことはありませんが、どういうおつもりでしょうか。一方的にこうした罵倒をされても困ります。

別に私は大した者ではありませんし無名ですが、一生懸命考えて結論を出しています。私は自分が権威ある学者だとも学会のボスだとも名乗っておりません。至らないところは多々ありますし間違いもあると思いますが、私は人を批判する際にはそれ相応の証拠を挙げ、感情的な発言はしないように心がけております。

池田先生は、私の非伝統的金融政策への評価をずっと批判されていますが*1、欧米の経済学者の間では、量的緩和はデフレに対して効果があるという意見が圧倒的ですし、量的緩和に関する私の意見はごく一般的な意見と同じです。例えば、シカゴ大による欧米の著名経済学者に対する調査では、「日本銀行が異なった金融政策をとっていたならば、長引く日本のデフレは避けることができただろう」という意見には過半数が賛成で、反対なのは僅か3%です*2。ECBの量的緩和がデフレリスクを避ける上で効果的だという意見に反対しているのは2%です*3バーナンキFRB議長の2008-2009年初めの大胆な金融緩和への評価も評価する声が圧倒的です*4。私は別に学界では相手にされないからダメとか相手にされているから正しいとかそんなことを言うつもりは全くありませんが、少なくとも私の意見はさほど変わったものでないのは明らかです。

 先生が私個人についてどんな判断や感情をお持ちでもそれは自由ですが、他人にすぐ「バカ」とかそれに類する言葉を使うのはできればやめていただけませんか。小さな意見の相違に不寛容ですぐに相手を罵倒するような態度は、先生の標榜する自由主義とは相いれないものではないでしょうか。

一度もお会いしたこともない方からどうして一方的にこんな悪口を言われなければならないのか理解できません。先生の書いておられることは主観的ご意見ですから何とも答えようがありませんし、いきなりそういった負の感情をぶつけられても困惑するしかありません。意見の相違は喧嘩でも戦争でもありません。もっと普通に話していただければ幸いです。

*1:池田先生からのコメントには以前何度かお答えさせていただきましたが()、失礼のないように丁寧にお返事してきたつもりです。このようなコメントをいただいたことには驚いております。

*2:Japan's Deflation - Clark Center Forum (kentclarkcenter.org)

*3:ECB Asset Purchases - Clark Center Forum (kentclarkcenter.org)

*4:Chairman Bernanke - Clark Center Forum (kentclarkcenter.org)