柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

池田信夫先生からのお返事へのコメント

2月11日、私の出演した番組や本に対して、池田信夫先生からツイッターでご批判をいただきました。先生のご批判には明らかな事実誤認がありましたので、池田信夫先生への公開書簡((1)(2)(3)(4)(5)(6))で、反論をさせていただきました。

この度、池田先生から私の公開書簡に対するお返事をいただきました。お忙しい中、丁寧なお返事を書いてくださったことは嬉しく思います。ブログで公開されている内容について取り急ぎ簡潔にお返事させていただきます。

①「チャンネルくらら」の番組について

池田先生は今回の問題の経緯について次のように書いておられます。

「このツイートに対して著者から公開質問状をいただいた。6回もあるので全部はお答えできないが、要点だけ。

まずこの「チャンネルくらら」を私は見ていないし、見る気もありません。私が読んだのはKindle Unlimited版です。「ネトウヨ」などの表現で気分を害したのならおわびしますが、いま読み返しても私の評価は残念ながら同じです。」*1

お言葉ですが、私の公開書簡は「このツイート」だけに対するものではなく、「チャンネルくらら」の番組への酷評を含む先生の一連のツイートに対するものです。そもそも、ことの発端は、私の出演した「チャンネルくらら」の番組に対して、池田先生が「ネトウヨってバカだな」という攻撃的なツイート*2をされたことでした。「チャンネルくらら」を見ておられないのでしたら、少なくとも、番組を攻撃したツイートは削除していただけないでしょうか*3

②『ミルトン・フリードマンの日本経済論』の評価について

拙著を批判した池田先生の上記のツイートに対して、私は公開書簡で以下のように反論しました(詳細な反論は池田信夫先生への公開書簡(5) - 柿埜真吾のブログ (hatenablog.com) をご参照ください)。

フリードマンが日本に政策提言をしていたことは客観的事実です。彼は日銀金融研究所の顧問でしたし、「日本への処方箋Rx for Japan」という論文も書いていますし、中原伸之審議委員への助言もしていました。私の本は出典と論拠をきちんと示しております。私の本がでたらめというのはあまりです。」*4

池田先生はこれについて次のように反論されています。

「私が「フリードマンは日本経済なんか論じてない」というのは、最近のリフレ論争の話で、これは彼が2006年に死去したのだから当然です。」*5

しかし、上記のようなツイートを読んで、そんな風に受け取る読者がいるでしょうか*6。『ミルトン・フリードマンの日本経済論』について池田先生は上記のツイートだけでなく、次のようなツイートもされています。

「日本に政策提言もしていない」というのは「死後に」政策提言していないという意味なのでしょうか。そんな風に受けとるのはよほど変わった方でしょう。

事情を知らない読者が池田先生のツイートを素直に読めば、「フリードマンは日本経済なんか論じてない」し、かつて一度も「日本に政策提言もしていない」にもかかわらず、柿埜は「思い込み」で「でたらめ」を書いたのだろうと受け取るのが自然でしょう。私が虚偽の主張を出鱈目で書いていると受け取られるようなツイートは撤回していただけないでしょうか。

そもそも、私の本は220頁ありますが、第10章(191頁)までは基本的にフリードマンの過去の日本経済への提言について論じており、現在の日本経済について触れているのは最後の11章とおわりに、あとがきの部分だけです。その部分でも、私はフリードマンが言ったことと、彼の提言を発展させた主張を明確に区別して論じております。実際のフリードマンの著書や論文、当時を知る方の証言等に基づいて議論を組み立てていることは注釈や参考文献表を見ていただければわかるはずです。それなのに何故そんな批判を受けなければいけないのか理解に苦しみます。

なお、池田先生の反論のタイトルは「フリードマンはリフレ派だったのか 」となっていますが、そもそも私はそのようなことを一度として主張していません。リフレ派とフリードマンには共通する点があることは指摘していますが、これは池田先生ご自身も認めておられることですし、別に特別なことは言っていません。私はフリードマンがリフレ派だとは一切書いていませんし、インフレ目標に賛成していたとも言っていません。リフレ派との相違点も明記しています。この点は公開書簡(5)でもご説明している通りです。

先生が私の本を「絶版にすべきだ」といった厳しいご判断をされるのは自由です。大変残念ですが、仕方ないですし、先生のご意見は重く受け止めたいと思います。先生にもっと評価していただけるような本を書く努力をしたいと思っております。しかし、事実誤認を招くようなツイートはやめていただけないでしょうか。

③「ネトウヨ」というレッテルについて

ネトウヨ」などの表現で気分を害したのならおわびします*7

謝罪をいただき大変うれしく思います。私は人種差別主義が何よりも嫌いですし、そのようなレッテルを張られるのは本当に耐えがたいので、ツイートを削除していただけないでしょうか。何度も書きましたが*8、私は全く民族主義者ではありませんし、そのように誤解される発言をしたことも書いたこともありません。戦前や戦中の日本の軍国主義を美化したこともありませんし、そもそも歴史問題について一切発言していません。選択的夫婦別姓同性婚にも賛成です。

ネトウヨ」というのは極めて人種差別的で攻撃的な言動をする人たちのことを指す蔑称です。よほどな根拠がない限り使うべきではないと思います。不適切だと自覚されているのでしたら、速やかに削除していただきたいと思います。ツイートの削除自体はそんなに難しいことではないと思いますが、いかがでしょうか。

誤解を招く一連のツイートを削除された上でであれば、改めて私の本を批判したり何でも言ってくださって結構ですが、こういうのだけはやめていただけないでしょうか。本当に困っておりますので、ご対応をお願いいたします。

最後に

繰り返しになりますが、今回の一連のやり取りを私は大変残念に思っております。私は先生のご著書の学生時代からの愛読者ですし、先生の幅広い知見には大変敬意を払っております。私は無用な対立を望むものでは全くありませんし、むしろ非常に困惑しております。私のお願いしたいことは非常に単純なことです。私の投稿内容に納得していただけましたら当該ツイートを削除してください。どうかご理解いただければ幸いです。

以前もお願いしましたが、削除をお願いしたいのは以下のツイートです。よろしくお願いいたします。