柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

池田信夫先生への公開書簡(4)

植田和男氏の投票行動について

2点目に移ります。

2月10日の「チャンネルくらら」の緊急特番番組について、池田先生は、「ネトウヨってバカだな。植田さんは、速水総裁の利上げに反対票を投じたんだよ。」 [1]というツイートをされています。

しかし、これは番組をご覧いただければ、先生の誤解であることがわかると思います。私は、植田和男日銀審議委員(当時)が2000年8月のゼロ金利解除には反対したことを正しく説明しています。私の批判は、その次(9月)の会合では不明確な理由から議長提案に賛成に回ったことに対するものです[2]。番組のVTRでは、中原伸之氏の著作『日銀はだれのものか』から植田氏の9月以降の投票での変節への批判を抜粋していただいています。私が植田氏の投票行動を知らないという誤解は、実際に番組を視聴していれば起きようがないと思います。

もっとも、Twitter上の「チャンネルくらら」の宣伝は、「大反対を押し切ってゼロ金利解除した速水総裁に賛成をした審議委員 緊急!日銀総裁植田和男元審議委員を起用へ」となっており、説明不足な誤解を招きやすいタイトルであったことは事実です[3]。先生のようなお忙しい評論家が、わざわざ私の番組を見ずに、見出しだけを見て批判を書いたとしてもそれは全く責められないことです。ですが、いずれにせよ、番組に対する先生の認識が事実誤認なのは明らかだと思いますので、当該ツイートを撤回していただければ幸いです。これは本当に単純なお願いですし、先生にはご対応は全く難しくないことではないかと愚考します。

 

[1]https://twitter.com/ikedanob/status/1624240771636539392?cxt=HHwWgMDR8YmYu4otAAAA&fbclid=IwAR3gVlQ9OocKsBqAVQ7D8zzaJo8A18m3qAqzFPF-3WljpE4vf4UOl3A1tRc 

[2] 私自身は同様の批判を「植田日銀でデフレに勝てるのか」(『Voice』 2023年4月号)や『週刊読書人』3月10日号の岩田規久男先生との対談でも発表しています。対談=岩田規久男×柿埜真吾|日銀新執行部発足を控えて|週刊読書人2023年3月10日号 – 読書人ウェブ (dokushojin.com)

[3] なお、私自身はこの見出しには一切関わっておりません。