柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

池田信夫先生への公開書簡(3)

①「ネトウヨ」といういわれなき非難について(続き)

池田先生ご自身は、「ネトウヨ」という言葉を極度に排外主義的な人たちを指すのに使っておられます。特に中国への差別的言動をする方々を「ネトウヨ」と呼んでおられますね。例えば、最近のツイートでは、「ネトウヨの民族差別は醜い。中国政府を警戒することと、中国人を泥棒扱いすることは別だ」(2023年2月12日のツイート[1]) あるいは、「ネトウヨは、戦前の国粋右翼の中韓に対する差別意識を受け継いでいる。それを露骨にはいえないので、中国人が日本の土地を買うのがけしからんとか、移民は排除しろとかいう。」(2023年2月13日のツイート)[2]と書いておられます。

 こういう極端な排外主義者を指す言葉として使っている言葉を私に対して使うのは一体どのような理由でしょうか。前回の投稿でも書いた通り、私は人種差別主義に対して強く反対する立場をこれまで常々表明してきました。また、私はいかなる意味でも中国の方に対して差別意識など持っておりませんし、そのように誤解されるようなことはこれまで一度も書いたことも言ったこともありません。

拙著『ミルトン・フリードマンの日本経済論』では、貿易の利益を損ない、無用に対立を煽るチャイナ・バッシングは「百害あって一利なし」と論じていますし(214-215頁)、私の立場は極めて穏健なものです。

中国の軍事行動に警戒は必要にせよ、それを口実に差別を煽ったり、中国出身の方の人権を制限したりするのは言語道断だと考えます。私は醜い中国人差別に反対し無用な規制を批判する先生のご意見には全面的に賛成ですし、経済活動の自由や基本的人権をいい加減な理由で制限することには断固反対です。

韓国についてはそもそも殆ど書いたことがありませんが、北朝鮮との対比で自由市場経済の成功例として高く評価していますし、韓国の方に差別意識など全くありません。

池田先生が私の論説の価値をどう判断されてももちろん自由ですが、私に対して「ネトウヨ」などという極度に侮辱的で不快なレッテルを無責任に使うのだけはやめてください。私は人種差別主義を他の何よりも嫌っておりますので、これ以上にないほど不快な思いをしています。先生の行為は私の社会的信用や友人関係にも多大な不利益を与えます。どうか投稿を至急撤回してください。

 

[1] https://twitter.com/ikedanob/status/1624735272796831745...

[2] https://twitter.com/ikedanob/status/1624923434575892480...