柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

池田信夫先生への公開書簡(2)

①「ネトウヨ」といういわれなき非難について

第一点目から始めましょう。池田先生は、最初のツイートから一貫して私を「ネトウヨ」と表現され[1]、「ネトウヨでリフレ派。別に右翼がリフレになる必要はないが、日本では両方やっているやつが多い。まぁバカの目印になって便利だが。」[2] とお書きになっておられます。

ネトウヨというのは普通、「特定の国や人種に対する差別的発言を繰り返したり、新聞社の社説や記事、テレビ局の放送内容に対する批判などを、過激に、または誹謗(ひぼう)中傷、侮蔑的表現として、掲示板やブログに投稿したりする人々」[3]を指すはずです。

私は人種差別主義には一貫して反対してきましたし、そのような侮辱的表現で形容されるいわれは全くありません。例えば、近著『自由な社会をつくる経済学』でも、「気に入らない人を誰かれかまわず「在日」「朝鮮人」などと呼び、差別を煽る極右」を批判し(52頁)、ヘイトスピーチ対策や移民受け入れを支持しています(58頁) 。

私はどの著作でも民主主義と人権ほど大切なものはないと繰り返し書いてきましたし、様々な番組に出演した際もそれに反する意見を言ったことは一度もありません。

 『自由と成長の経済学』 では、「差別はどんな社会にも存在するし、啓蒙と教育によって戦う必要がある」(173頁)と指摘していますし、「独裁が数千年以上の伝統の国に民主化は無理」といった右翼的言説を批判し、人権と多様性を擁護しています(202頁)。自由市場が素晴らしいのはマイノリティーの人権や多様性が守られるからだと書いています。

そもそも、私はこれまで周辺国との歴史問題について何か発言したり書いたりしたことは一切ありません。私には戦前や戦時中を賛美する気持ちなど微塵もありません。また、私は反ユダヤ主義やナチズムを強く批判してきました[4]

また、私は他人に対して「バカ」とか「死ね」とか言った侮辱的な表現を書いたりネットに誹謗中傷を書き込んだりしたこともありません。そもそもSNSでのけんか腰のやり取りからは距離を置いてきました。私は右翼ではなく、ネット中心の情報発信をしているわけでもありません。私が「ネトウヨ」だという先生の断定は明らかに誤解であると思いますし、撤回していただけることを切に願います。

 

[1]https://twitter.com/ikedanob/status/1624240771636539392?cxt=HHwWgMDR8YmYu4otAAAA&fbclid=IwAR3gVlQ9OocKsBqAVQ7D8zzaJo8A18m3qAqzFPF-3WljpE4vf4UOl3A1tRc 

[2]https://twitter.com/ikedanob/status/1624337157094772736?cxt=HHwWgMDQwbmC54otAAAA&fbclid=IwAR04Fs9kHoZ0s1diAJr7PGcMJd2azWLbelB1g9n5Cadk8h0VmbYian6_McA 

[3] ネトウヨ(ねとうよ)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

[4]ミルトン・フリードマンの日本経済論』24-26頁,「ヒトラーの経済政策はケインズ的で大成功だった」は大嘘 | 柿埜真吾 | テンミニッツTV (10mtv.jp)