柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

大谷選手の私生活は「コモン」か?

有名人であれ誰であれプライベートでどんなことをしていようと自由であるはずです。仕事に関係ないことの公開を求められたり詮索を受けたりする義務はありません。他人の私生活に土足で入ってくる人たちには本当に嫌になります。

斎藤幸平東京大学准教授*1のような方まで大谷翔平選手の結婚相手が誰かなどという話題に関心を持っておられるのは少々びっくりしました。

斎藤幸平東京大学准教授は、以前「大谷選手も1億円しかもらえないでいいと思う」*2とおっしゃっていましたが、年収だけでなく*3、「オープンな交際」がどうのなどと結婚生活の在り方にまで口を出されてはたまったものではないでしょう。それとも、ひょっとして、斎藤氏の理想とする「脱成長コミュニズム」の社会では、大谷選手の私生活の情報も「コモン(共有)」なのでしょうか。いくらなんでも、まさかそんなことはないでしょう*4

誰と付き合おうと誰と結婚しようと自由ですし、そんなことを世間に報告する義務などありません。以前も別の文脈で書きましたが、「有名税」などといって、勝手に他人のプライバシーを暴き立てるストーカー行為を免罪するのは悪い風潮です*5。本人が詮索されたくないというのですから、それを尊重するのが当然でしょう。

世間から見ていかに風変りであろうが何であろうが、他人の権利を侵害しておらず、当事者同士がその取り決めに満足しているなら、部外者が他人の生活に干渉する権利などありません*6。自由な社会では当事者同士が合意した取り決めは尊重されるべきです。

*1:「サンジャポ」お相手を語らない大谷翔平「アメリカ人からするとおかしい」東大大学院准教授が指摘「ここまで隠すのは…」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

*2:「所得上限を設けて再分配。“大谷選手も1億円しかもらえない”でいいと思う」 斎藤幸平氏が提唱する“脱成長”3つのポイント | 国内 | ABEMA TIMES | アベマタイムズ

*3:大谷選手の年収は、ロサンゼルス・ドジャースと本人が合意しており、観客が喜んでお金を払っているのですから、全く問題ないと思います。誰を搾取したわけでもありませんし、誰かを不幸にしているわけでもありません。むしろ全く逆でしょう。私には一体何故悪いのかわかりません。

*4:まあ、こういうゴシップの番組でコメントを求められて、答えに困ってこういう話をしたのでしょうからそれは同情します。敢えてこの話題を取り上げるのは少々意地悪かもしれません(ごめんなさい)。とはいえ「世間ではどうしているか」とか「普通はどうか」とかは余計なお世話だと思います。仮に何か言うなら、「本人がそっとしておいてほしいと言っているのですから尊重すべきで、コメントは特にありません」で良かったのではないでしょうか。

*5:記者会見を開いた理由について、大谷選手は「一番はみなさん(メディア)がうるさいので」と言っておられましたね。拍手を送りたいところです。

*6:さらに言えば、自分の権利を行使しているだけの当事者が世間に対して自分の決断の理由を申し開きしなければならない理由もありません。誰にも迷惑をかけていないのですし、「普通でない理由」を説明するように強制されるいわれはないのです。これは他の問題についても言えることだと思います。本人の自由で良い問題、当事者で話し合えばいい問題に赤の他人があれこれ口を出し、「こうあるべきだ」とかいうのは余計なお世話で、その方がよほど覗き趣味で不道徳だと思います。