いよいよ2023年も今日で終わりですね。2023年は皆さんにとってどんな一年でしたか。
経済に関しては、年初には様々な懸念材料がありましたが、意外に悪くない一年だったといえるでしょう。米国経済が予想以上に堅調で、日本経済も30年ぶりの大幅な春闘賃上げが実現し、名目GDPが600兆円に迫り、実質GDPも2%近い成長を遂げて過去最高になると予想されること等、思ったよりも明るい話題が多い一年になりました。
世論の反対もあって防衛増税が延期され、日銀も金融緩和の急激な修正に踏み来ることなく、円安が続いたことが景気回復の追い風になったといえるでしょう。資源高が起点とはいえ、予想インフレ率が上昇して消費者の購買行動や企業の価格・賃金設定行動が変化し始めている点は、特に注目されます。
コロナ禍からようやく経済が正常化し、懸案だったALPS処理水の海洋放出も実施されたことなど、いろいろな議論はありますけれども、進まなかった課題がかなり前進した1年と評価してもいいのではないでしょうか。
しかし、その一方で、2023年の経済成長は外需主導で、内需、特に消費が弱いままである点は懸念される点です*1。2022年12月以降、有効求人倍率がやや悪化しているのも懸念材料です。
2023年のYCCの修正に続いて、来年にはマイナス金利解除などと取り沙汰されていますが、目先の経済が良いからと言って拙速に引き締めに進むのはリスクが高すぎるように思われます。正直、日銀が1月に利上げするとしたら驚きです。
2023年の日本経済は、長きにわたったデフレ均衡から抜け出し普通のマイルドなインフレ経済に向かう大きな一歩を踏み出したといえますが、来年は賃金と物価の好循環をうまく実現できるかどうかが問われる一年になりそうです。
2023年の経済書
2023年は優れた本が多く出版され、特に収穫の多い一年でしたが、私自身が特に面白かった2023年の経済書をマクロ経済学を中心にご参考までに順不同で挙げておきます(ただし、7は2022年12月20日出版)。
2ベン・S・バーナンキ『21世紀の金融政策』日本経済新聞出版
3オリビエ・ブランシャール『21世紀の財政政策』日本経済新聞出版
6クラウディア・ゴールディン『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』慶應義塾大学出版会
8マーク・コヤマ, ジャレド・ルービン『「経済成長」の起源: 豊かな国、停滞する国、貧しい国 』草思社
10バリー・アイケングリーン〔他〕『国家の債務を擁護する』日本経済新聞出版
11クリストファー・ブラットマン『戦争と交渉の経済学』草思社
正月休みの読書のご参考になれば幸いです。
読者の皆様ありがとうございました!
私自身はなかなか大変な一年だったのですが、何とか本も一冊出すことができましたし、無事一年が終わりホッとしています。ブログやXをはじめてみて、最初はどうなることやらと心配していたのですが、思いのほか暖かい応援の言葉をいただき、とても感謝しております。読者の皆様、本当にいつもありがとうございます。
それでは、読者の皆様、今年も大変お世話になりました!どうかよいお年をお迎えください!