柿埜真吾のブログ

日々の雑感を自由に書きます。著書や論考の紹介もします。

良いお年を!

読者の皆様、いつもご愛読ありがとうございます。今日で2024年も終わりですね。皆さんにとって今年はどんな一年でしたか?私は個人的にはなかなか忙しい一年でこのブログの更新も滞りがちでしたが、ともかく一年が無事終わってホッとしています(笑)。

政治面では今年は混迷の一年だったと言えるかも知れません。隣国の韓国では尹大統領による非常戒厳宣言をめぐり今も混乱が続いています。まさに民主主義の危機というべき事態です。今年は日本も世界も選挙イヤーでしたが、極右や極左の候補に既存政党の穏健派の候補が敗れる事態が相次ぎました。米国大統領選では、大幅な関税引き上げを公約とするトランプ元大統領が再選されました。トランプ関税は来年以降の世界経済,日本経済にとっても大きなリスクと言えるでしょう。やりたい政策が見えない石破政権は衆院選で大敗し迷走を続けていますが、一番の友好国である米国の次期大統領であるトランプ氏とろくなコンタクトも取れていない現状は深刻です*1

能登半島地震で幕を開けた2024年は経済面でも多難の一年でした。2023年は予想以上に好調だった日本経済は、2024年には年初の予想を大きく下回りゼロ成長に落ち込みました*2。そんな状況の中で日銀が利上げを進め、政府が防衛増税をはじめとする増税に踏み切ろうとしているのは理解し難いところです。

しかし、その一方で、今年は減税が国政や地方選挙の大きな争点になり、減税派躍進の一年でもありました。石破政権は少数与党政権ですが、少数与党ということは,ある意味で民意に反対しにくい政権だということでもあります。国民民主党の国政での勝利、既存政党候補の名古屋市長選での大敗等の一連の選挙から民意がどこにあるかは明らかでしょう。極右や極左の台頭は国民軽視の既存政党への警告とも言えます。減税は選挙で勝てることがわかったのですから、既存政党は民主主義を守るためにも大胆な減税政策に舵を切ってほしいと思います。

世界でもシリアのアサド政権が崩壊するなど自由な社会に向けた進展も見られました。反米左派旋風が席巻してきた中南米でもアルゼンチンが親米自由市場経済路線に舵を切るなど変化の兆しが見えています。2025年が自由な社会へ向けた大きな一歩となることを願ってやみません。

読者の皆様,今年も大変お世話になりました。2025年が皆様にとって素晴らしい一年となりますように。どうか良いお年をお迎えください!

 

*1:私個人はトランプ氏に極めて批判的ですが、彼が大統領になる以上は,米国の同盟国である日本がトランプ氏と緊密な信頼関係を構築する必要があるのは当然のことと考えます。トランプ氏と交友を深めた安倍元首相も何もかもトランプ氏と同意見だったわけではなく、同盟国の首脳として必要な関係構築をしていたわけです。石破首相に安倍元首相ほどの信頼関係の構築は期待しませんが、せめてトランプ氏と大統領就任前に会談するぐらいは必要ではないでしょうか?

*2:景気の失速は日銀の利上げと無関係とは考えにくいところです。3月にマイナス切りを解除した日銀はその後も利上げを進めていますが、インフレ率が2%台で落ち着いており,日銀自身の公表する基調的インフレ率の指標が軒並み2%を割っている状況ですから、利上げを急ぐ理由はないでしょう。輸入物価も11月は前年同月比マイナス1.2%と、一部の自称経済評論家には失礼ながらハイパーインフレなど到底懸念する状況ではありません。12月会合での利上げ延期は賢明な判断だと思いますが、来年1月はどうなるでしょうか。